子どものころ都会には住んでいたが、周りは広い埋立地だった。 セミ、トンボもいたしウナギも捕ったことがあった。 長期の休みには田舎に帰って、山、川や海で遊んでいた。 人工的ではあるけど、自然の中で過ごすことが多かったと思っていた。
 縁あって県南の海沿いの地で職に就き、豊かな自然の中で暮らすことになった。 
1 美しい!
 あるとき、こどもたちがアパートに来た。 「いいものを見せてあげる」というのだ。 港の中の護岸で、海の水を手ですくって見せてくれた。 海の水がキラキラ輝いて、指の間からこぼれ落ちた。 水面に落ちて波紋が輝いて広がる。 自分でもしてみた。 同心円状・・・・・でした。 明かりのないところだったから、辺りも明るくなった。 ピーター・パンのティンカー・ベルが振りかける魔法の粉のようだった。 「夜光虫」と教えてくれた。
 夜間に船に乗ったときに、暗闇で航跡がぼんやり見えることがあった。 なぜ見えるのか不思議に思っていたのだが、納得した。
2 透明なのかよ!
 漁船の生けすを見せてもらった。 イカが泳いでいた。 透明だった。 「イカって白いんじゃないのかよ!」と驚く私に、「生きているときは透明だよ。 死んだら白くなるんだ。」と教えてくれた。 そのときに泳いでる鯖を見て、その美しさにも驚いた。

まだ他にも知らなかったことがいっぱいあった。 子どもたちから、それを教えてもらった。